不妊治療の保険適用について

ブログ
不妊治療の保険適用について

2月9日に歴史的な決定が行われました。
これまで少子化対策の柱として不妊治療が大きく注目されていましたが、4月より不妊治療費の約7割を国民の保険料(国民皆保険制度)や税金を投じると国が決定しました。

これまで不妊の原因検査や排卵誘発剤など一部の治療のみに保険適用されていましたが、4月からは人工授精や採卵、体外受精、顕微授精、胚培養、胚凍結保存、胚移植など一連の治療において患者の負担額が軽減される形となります。

子を望むカップルの費用負担が軽減されたことは、現在治療中の患者様や、将来子をわが手に抱きたいと望む方々にとって福音である、不妊治療の一助を担う当社としても注目しております。

【日本における胚凍結の重要性】
日本では凍結胚を用いた治療がスタンダードであり圧倒的に多く、凍結胚を用いた治療周期総数は214,938周期(2019)にもなります。

今回の保険適用では胚凍結保存と凍結胚移植にも点数が新設されました。また新鮮胚移植(7,500点)と凍結・融解胚移植(12,000点)では別点数の算定となっていることからも、治療成績向上のために凍結・融解は非常に重要なものであり、凍結胚を用いた治療を強く推し進めていくとのメッセージであると当社は解釈いたしました。

【日本で保険適用された内容】
・一般不妊治療管理料 250点
・人工授精 1,820点
・生殖補助医療管理料1 300点
・生殖補助医療管理料2 250点
・内分泌学的検査 抗ミュラー菅ホルモン(AMH) 600点
・採卵術 3,200点(採卵個数により別途加算あり)
・体外受精 4,200点
・顕微授精 4,800~12,800点(実施個数により算定点数変動)
※別途体外受精と顕微授精を同時に実施した際の算定要件あり
・卵子調整加算 1,000点
・受精卵・胚培養管理料 4,500~10500点(培養個数により算定点数変動)
※胚盤胞の作成を目的とした際、胚の数に応じ別途加算あり
・胚凍結保存管理料 5,000~13,000点(凍結個数により算定点数変動)
※凍結開始後1年を経過した凍結胚の維持管理料として別途3,500点算定(上限3年)
・胚移植術 1新鮮胚移植 7,500点 2凍結・融解胚移植 12,000点
・アシステッドハッチング 1,000点
・高濃度ヒアルロン酸含有培養液 1,000点
・Y染色体微小欠失検査 3,770点
・精巣内精子採取術 1単純なもの 12,400点 2顕微鏡を用いたもの 24,600点

※当社調べ

【保険適用対象者について】
女性では治療開始時点で43歳未満が対象となり、治療回数は40歳未満の場合、子ども1人につき6回、40歳以上43歳未満は3回が保険適用上限となります。
もちろん男性側に起因する検査なども適用対象となっており、男性には年齢制限が設けられておりません。

一部では、妊孕性の観点から、残り時間の少ない40歳以上と、まだ時間が残されている40歳未満の助成上限回数は逆ではないかなどの声も上がっていると聞きます。
いずれにせよ患者様の費用負担が軽減されたことは、これまで経済的に理由で不妊治療を行えなかった方も含め、大きな福音となることは間違いありません。

【日本では凍結胚を用いた治療が主流】
この度の決定で、胚凍結保存と凍結胚移植が点数算定により認めらられたことからも、日本では凍結胚を用いた治療の成績や有用性、意義がしっかりと認められています。

日本で2019年に体外受精で生まれた子どもは6万598人。
1983年に体外受精での出産が初めて報告され、2008年は2万1704人で50.3人に1人の割合だったが、2018年には5万6979人で16.1人に1人の割合まで増加しています。
体外受精で生まれた子どもは19年までの合計で総計71万931人にも上ります。
(これは世界の国別人口で数えると165位相当の国の全国民に匹敵してしまう数です!)

また日本では凍結胚を用いた治療が主流で、凍結胚を用いた治療周期総数 214,938周期(2019)にもなります。

アーカイブ

カテゴリー